なぜ最近「大学の授業が難しい」と感じるのか― それはあなたのせいではなく、学びの構造が変わったから ―

最近、大学の授業を「難しい」「ついていけない」と感じる学生が増えています。
「自分だけ理解できていないのでは」と不安に思う人も少なくありません。

しかし、まず強調したいのは――

それはあなたの努力不足ではなく、学びの構造そのものが変化しているからです。

文部科学省や大学生協の調査でも、全国的に「授業理解度の低下」や「授業外学習時間の減少」が報告されています。
つまり、あなた一人の問題ではなく、今の大学教育全体で起きている現象なのです。

1．大学の授業が「難しく感じる」ようになった背景

大学の授業はもともと「自分で考える」ことを前提に設計されています。
しかし今は、次のような教育環境の変化が重なり、学びにくさを感じる学生が増えています。

これらはすべて、環境の変化による構造的な問題であり、学生本人の努力や能力とは無関係です。

授業を理解するには、「授業内」と「授業外」の両方が必要です。
しかし、最近の調査では授業外の学習時間が大きく減っています。

これは怠けているのではなく、
授業形式や生活スタイルの変化によって、学ぶ時間を確保しにくくなっただけなのです。
「今の大学生活では、努力しても時間が足りない構造」だと言えます。

コロナ禍以降、オンデマンド型の授業が一般化しました。
録画を視聴するだけの授業形式は便利ですが、構造的に次のような問題を抱えています。

つまり、学びが「双方向」から「一方向」に変わったのです。
これにより、「わからない部分を放置したまま進む」学生が急増しています。

出典：
文部科学省「大学教育のデジタル化に関する調査報告（2023）」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/daigaku/detail/1418080_00001.htm

これは決して学生の怠慢ではなく、
質問する機会そのものが制度的に失われていることが原因です。

高校教育の新課程では、学習内容が削減され、探究型の活動が増えました。
その結果、「高校で習わなかった単元」が大学で登場することが珍しくなくなりました。

理系では数学・物理、文系では英語・論理・統計などで「高校の基礎を大学で初めて学ぶ」学生もいます。
これは学力ではなく**教育制度の変化による“学びの空白”**です。

大学の先生も「高校で扱っていない内容を前提に授業を進めざるを得ない」状況にあり、
結果的に授業が“難しく見える”のです。

かつては、教授・助教・TAが個別に質問を受ける機会が多くありました。
しかし現在は、学生数の増加やオンライン化により、
一人ひとりの理解度に応じたフォローが難しくなっています。

授業が「理解できる学生中心」に設計される傾向が強まり、
少しつまずいた学生がそのまま取り残される構造ができています。

大学の授業が難しく感じる原因は、「個人の努力不足」ではなく、「仕組みの問題」です。
当センターは、まさにその構造的な課題を解消するための指導体制を整えています。